アルバム『LIFE』(1988年)でシンガーソングライターであることを高らかに宣言し、アルバム『See You Again』(1990年)で、アコースティック路線を掲げた沢田聖子が、様々な寄り道、回り道を経て、ついにものにした10ウン年ぶりの傑作!この間、アルバムをリリースするたびに感じた、じれったさが見事に払拭された。ライブで鍛え上げられたシンプルなアレンジで等身大の「現在」を歌い上げている。そして、どの曲もそれぞれの世界を持っている。誰にも、胸を張ってオススメできるアルバム! こんなのを待っていた!
一方、アルバム作品ということで見るとこのアルバムは1曲目の「ナンクルナイサ」と最後の「息子からの伝言」という2つの極めて強い個性のある楽曲にひっぱられすぎて少し中抜けの印象が残ってしまいます。前作の「祈り」が聖子さんのアルバム群の中でも飛びぬけて完成度が高くまとまりのある充実したものだったこともありその点からは少し残念です。ただ同じことばかり繰り返しても前には進めないわけで、「ナンクルナイサ」での音的な新しい一歩、そして世界平和を強く祈念する「息子からの伝言」での詩的な新しい一歩はとても貴重かなとは思います。