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しかし、惜しいことに系図に五胡君主の諡、即位年代がなかったり、五胡諸国の遷都について地図で表さないなど、やや使いにくい面がある。また、ゲルマン民族の大移動がその後のヨーロッパの枠組みを作ったことにたいして、隋唐帝国にとっての五胡十六国の意義を位置づけようとしているが、本文を読む限り著者の意図が成功しているとは思えない。この種の本ならではの貴重な写真を掲載し表を多用してこの時代についての読者の理解を深めようとする努力がみられ概説書としては有益である。
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秦漢帝国の崩壊後、その枠を超えて様々な民族が流入興亡した時代であり、たいへん流動性とエネルギーにあふれた時代であった。その隋唐帝国への文化的・政治的な功績は重大であり、日本や朝鮮にも影響は残っている。それらはこれまで「混乱」「動乱」などと否定的に語られてきたが、より肯定的にとらえなおされるべきものである。
本書はこれを西洋史におけるゲルマン民族移動に相当するものと位置づけている。他の研究者にも同様の見方をするものもあり、大変興味深いものである。しかしその理論化は東洋史と西洋史を安易に平行化してよいのかという問題を含め、まだこなれたものではないと思われ、今後の研究が期待される。