My三国志を楽しもう!My三国志はじめてガイド
「演義」の地理が一寸間違っている理由や、このエピソードはこの文献から来たのでは?という解説、文化、宗教、当然歴史、近代発掘された遺跡からの資料等、とても丁寧に紹介されています。
こういう本を待っていました。
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(1) 著者の専門が文学史だということもあってか、「三国志演義」を肴にしつつ、この時代の歴史を、主として三国相互間、あるいは三国内部の政治・権力関係に着目して記述しています。読み物としても楽しめます。反面、経済・社会状況や土地関係等に関しては、もう少し丁寧に説明を加えた方が良いのではないかという気がします。
(2) 演義の中では端役的存在の孫呉ですが、著者は三国の鼎立・抗争においてキャスティング・ボートを握る重要なファクターとして同国の役割を重視する姿勢です。特に魯粛については、優れた外交感覚に裏打ちされた深謀遠慮の人であり、諸葛亮の鼎立構想を実現する上での不可欠なパートナーとして捉えています。
(3) 魏朝による簒奪へのアンチテーゼとして成立した蜀漢が、現実の戦略的要請の前で、孫呉との間で「二帝並立」を容認せざるを得なくなった過程に注目し、理念と現実との矛盾・調整として分析しています。
(4) 三国と周辺諸族とのインタラクションにも注目し、そうしたコンテクストの中で卑弥呼への「親魏倭王」号授与の意味合いなどを考察しています。
三国時代を1つの巻として切り出すことについては、いったい如何なる考え方に基づいているのか、どうしても違和感を禁じえません。日本人の「三国志好き」に便乗したのではないかなどと勘繰ってしまいたくもなりますが、敢えて好意的に解釈するとすれば、この時代の観察を通じて、中国史における「統一と分裂」の意味合いを分析しようということなのでしょうか。